1997
1998

スピード・フォルム

ピアノが風洞を設計

スピード・フォルム
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456 GTA
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F300
1999
スピード・フォルム
1998スピード・フォルム
00:00
各種の瞬間ガレージ
1947
1947初勝利
1948166 MMのデビュー
1949ル・マン勝利
1950
1950赤のミッレミリア
1950F1デビュー
1951F1初勝利
1952マルゾットのモナコ優勝
1952アスカリの勝利
1953スポーツカー選手権
1954最後のパンアメリカン
1954パリのクイーン
1955クーペのレディ
1956チャンピオンファンジオ
1957CALIFORNIA DREAMING
1957最後のミッレミリア
1958優美なチャンピオン
1959米国に挑む
1960
1960シリーズ開始
1961赤の独占
1962マスターピース
1963ル・マン、イタリア
19642つの世界のヒーロー
1965タルガで勝利
1966至宝の365 P
1967伝説のゴール
1968勝利への賛辞
1968アルゼンチンタンゴ
1969タスマニアのディーノ
1969ヨーロッパのマスターズ
1969新しいパートナー
1970
1970512 Sの奇跡
1971365 GT4 BB
1972312 P全勝
1972ホームサーキット
1973DINO 308 GT4が到着
197450回目の熱狂
1975チャンピオンのラウダ
1975初回
1976見事なオートマチック
19772回目のニキ
1978故郷で才能開花
1979シェクター世界一
1980
19808気筒エンジンを搭載した4シーター
1981モナコでターボが優勝
1982無敵の308 GTB
1983オープエアの楽しみ
1984フェラーリ初
1984スタイルの傑作
1985328、最後の舞台
1986米国の脅威
1987エンツォの夢
1988別れの日
1989マンセルのギア
1990
1990F1GP 100 勝
1991アイコンの進化
1992クラシックGT
1993クライアント専用
1994究極の洗練
1995F1ロードカー
1996シューマッハ初
1997革命的なギアボックス
1998スピード・フォルム
1999頂点に復帰
2000
200021年後
20012回目の世界タイトル
2002創業者への敬意
2003追悼アニエッリ
2004制止不能
2005SUPERAMERICAの魔術
2006エクスクルーシブXXプログラム
2007キミ、逆転王者
2008再びチャンピオン
2009ベンチマーク・カー
2010
2010赤のファン
2011全天候型FF
2012性能とデザイン
2013究極の革新
2014究極
2015未来に向かって
201670周年の象徴
2016株式市場の上場
2017祝!70周年
2018セルジオとの別れ
2019異なるオーナーには異なるフェラーリを
2020
2020優れた回復力を発揮するブランド
2021大きな変化の年
1998継続的な革新

スピード・フォルム

ピアノが風洞を設計

90年代の初めに危機的な状況が続いたフェラーリは、1996年をきっかけに、F1チームであるスクーデリアの再建により多くのエネルギーを注ぐようになりました。ドライバーとしてミハエル・シューマッハがチームに加わると、その年の7月にはスクーデリアの新たな風洞を建設する作業が開始されました。風洞は、現代のF1においてその重要性が次第に高まりつつあります。特にサーキットでのテストが必要最低限に抑えられている近頃では、事実上不可欠なものになっているのです。

スピード・フォルム

路上を走る車の周囲を空気がどのように流れるのかをシミュレーションする際に、この風洞が必要になります。この風洞を設置するにあたっては、被検体のサイズがひとつの大きな問題点となっていました。事実、大きさを実際の3分の1に縮小した車両模型で風洞実験を行わなければならないことも少なくなかったからです。しかし、フェラーリは費用を掛けてでも、1/2モデル(実車の半分の大きさの模型)のみならず、1/1のシングルシーターや各種フルサイズモデルでも実験できる設備が欲しいと思っていました。建設作業には1年半を要しました。風洞を設ける最も重要な目的は車両の効率性を追求することですが、ありきたりで優美さに欠けるデザインに仕上げてしまっては、フェラーリにはとうていなり得ないというのも事実です。そこでこのプロジェクトには、世界で最も有名な建築家が関与することになりました。ジェノア出身のイタリア人、レンツォ・ピアノです。その巨大シミュレーターは、美しいデザインと効率性に優れたいくつもの建物とともに、新しい施設フェラーリ・シタデルの工事が進められていたエリアの中でも波打つ起伏が特徴的な場所に置かれています。ピアノは、過流を発生させる駆動装置、80 x 70メートルにも及ぶ巨大なプロペラの一部を思わせるトンネルなど、施設の構造物をそのテクニカルなコンポーネントが見えるようにむき出しにしておく方法を取ったのです。 すでに説明した通り、新しい風洞は1/2モデルに対応できるもので、シミュレーション可能な速度は250 km/hに達しています。また、1/1モデルの実車も収容可能で、この場合は最高150 km/hまでの状態をシュミレーションすることができます。システムに電力を供給する変電設備の出力は6,000 kWで、これは共同住宅約2,000区画分の照明に十分対応できる大きさです。直径約5 mのファンには、F1のエンジン5基分に相当する、出力2,200 kWのモーターが備わっています。計器類の誤差は0.04%で、建設費用は160億リラ(約9億7,000万円)を超えています。

この設備は1998年に竣工すると、主にF1マシンの開発に使用されてきました。その年のエフサンビャクF300は、このシステムのメリットを部分的にしか享受していませんが、1999年のシーズンに投入されたエフサンキュウキュウF399は、この新しい風洞を最大限に活用した最初の1台としてコンストラクターズタイトルの獲得に貢献しています。ドライバーズタイトルは逃してしまいましたが、これはミハエル・シューマッハが英国GPで負傷してしまったためです。彼のチームメート、エディ・アーバインもシーズン最終戦までタイトル獲得に向けて奮闘を続けましたが、タイトルには届きませんでした。これ以降、レンツォ・ピアノの風洞は、スクーデリア・フェラーリの黄金期を支える、F1マシン開発にとっての重要な要素となりました。

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1998年の傑作