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情熱

共有される情熱

親子二代にわたってフェラーリ・チャレンジのドライバーとして成功を収めているミュジアル父子にとって、レースは単なるレースを超えて、 生涯続く絆を強めるものとなっています
文:マルコ・デッラ・カーヴァ
写真:ブライアン・フィンケ

親子ですごす時間は、つながりや絆を築くための貴重な瞬間です。そうした共有される出来事のなかに、モーター・レーシングの基本的な要素である、強い友情や固有の危険が含まれていれば、思い出はいっそう倍加されます。


51歳のデイヴ・ミュジアル・シニアと、その息子で22歳のデイヴ・ミュジアル・ジュニアに話を聞いてみましょう。このシカゴ出身の親子2人は、この6年間、フェラーリ・チャレンジ・サーキットの常連で、着実に表彰台に立ってきました。

父と息子のデュオは、過去6年間、フェラーリ・チャレンジ・サーキットで着実に活躍してきました

「ことの始まりは、車への共通の情熱でした。息子は私以上に車好きかもしれません。」とデイヴ・シニアは笑って言います。「しかし、実際、一緒にサーキットでレースをして、昼間も夕食のときも笑いが絶えないというのは、本当に特別なことです。」 


デイヴ・ジュニアも、喜びを共有することを本当に重視しています。彼はこう言います。「サーキットでもそれ以外でも、一緒にいてとても楽しいです。学ぶことも、確かにあります。同時に走るときは、父が私と違うことをしていないか、もっとうまく走っていないか、父のラインをたどって試してみることもあるんです。でも、多くの場合、楽しんでやっています。」

トロフェオ・ピレリに臨むデイブ・シニア。 彼の488 Challenge Evo。 トロフェオ・ピレリAm2の3位で表彰台に。

フェラーリ・チャレンジのヘッド・コーチであるディディエ・ゼイスも、この印象を裏づけるように、こう話します。「あの父子は、パドックでも、みんなを楽しませてくれることが非常によくあるんですよ。」 しかし、ミュジアル父子は、チャレンジの競技者として楽しい時間をすごせるように努力することに力を入れることもありますが、結果を出すことにも厳密に照準を合わせています。


ミュジアル父子がフェラーリ・レーシングの道を歩み始めたのは、2016年、アメリカGPの会場であるテキサス州オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズで開催された「コルソ・ピロタ」プログラムにおいてでした。そこでフェラーリのレーサーたちやロードゴーイング・モデルに触れ、フェラーリでレースすることとフェラーリを集めることにのめり込んでいったのでした。

レースのスタートに集中するデイブ・ジュニア。 エルクハート・レイクのサーキット上。 コッパ・シェルAMで2位を祝う

若い頃は優秀なカート・レーサーで、その後は、急成長する冷暖房の仕事に専念していたデイヴ・シニアは、「コッパ・シェル」レベルでいきなり1位に輝くと、めきめきと頭角を現しました。2020年には、フェラーリ・チャレンジ・ノースアメリカのトロフェオ・ピレリAMクラスでFerrari 488 Challenge Evoをドライブし、見事優勝しました。


デイヴ・ジュニアがコッパ・シェルでレーシングの旅を始められる年齢に達したのは2019年のことで、すぐにサーキットの勘を受け継いでいることに気づきました。翌年、デイヴ・シニアがトロフェオ・ピレリAMで優勝すると、デイヴ・ジュニアはデイトナで5位となって初のトップ10入りを果たしました。


2021年、番狂わせが起き、 今度はデイヴ・ジュニアがFerrari 488 Challenge Evoを駆ってコッパ・シェル・ノースアメリカで1位となり、総合優勝を果たしました。デイヴ・シニアは北米のトロフェオ・ピレリAM2で3位となりました。その結果、 2022年には父子そろってトロフェオ・ピレリに昇格し、シニアはトロフェオ・ピレリで、ジュニアはトロフェオ・ピレリAMで参戦することになりました。

貴重な瞬間:喜びのハグを共有する父と息子

今後の見通しに、2人は微笑みます。デイヴ・シニアは言います。「これからは2人で同時にサーキットを走ることが多くなります。すばらしいことです。予選でも互いに順位を競い合うことになります。ご期待ください!」 


オフシーズンには、アメリカ中西部の天候が悪くなければ、ミュジアル父子は増え続けるフェラーリ・コレクションに乗って、のんびりとクルージングを楽しんでいます。現在、ガレージにはLaFerrari、SF90、F12、Monza SP2などがあります (シニアのお気に入りは Monzaで、 ジュニアの気に入りは LaFerrariです)。このフェラーリ・マシンの数々は、2人を魅了して情熱をかきたて、毎回、次のサーキットを走る気にさせます。デイヴ・シニアにとっては、この比類ないフェラーリに刺激される活動を、息子と続けていけることになります。


デイヴ・シニアは言います。「よく知られているように、親子の間には世代のギャップがありがちですが、お互いが好きなものを共有できれば、ギャップは縮まります。情熱面でつながりがあれば、一緒にいる時間はさらに特別なものになります。」