フェラーリ 599XX が自社スポーツカーとして初めてニュルブルクリンクの旧コース( 20.832 キロメートルの北コース)で 7 分台の壁を破り、 6 分 58 秒 16 を記録しました。
フェラーリのエンジニアは、エンジンの燃焼室と吸排気系において広範にわたる改良に取り組み、「ハイパフォーマンス・ダイナミックコンセプト」と呼ばれる革新的なエレクトロニック・コンセプトにより特徴付けられた599XX は、車輌の機械的な限界と電子制御のポテンシャルのコンビネーションを成し遂げることにより、最大限のハイパフォーマンスを得られるよう設計されました。
599XXは、革新的電子デバイス「ハイパフォーマンス・ダイナミックコンセプト」によって車輌各部のメカニカルコンポーネントをコントロール、各部を最適化します。このような総合的なマネージメントによって、その性能を100%発揮することが可能になりました。限界域で安定したラップタイムを重ねるようなハイパフォーマンスドライビングの状況下では、電子デバイスとメカニカルコンポーネントが協同して限界能力を引き出しています。スポーティなハンドリングは、第二世代のSCMサスペンションシステムが担っています。クルマのコンディションを刻一刻と伝えるモニター「バーチャル・エンジニア」によってレースにおける使い勝手も大幅に向上しています。
599XXの空力性能は風洞によって研鑽され、200km/hにおけるダウフォースは280kg(300km/hでは630kg)を実現しました。フロントアンダーボディは完全にフラット化され、エンジンベイからの熱風を導くダクトはエンジンフード上に移設されました。
Actiflow™システムはダウンフォースの向上と空気抵抗の低減を、コーナリング時のコンディションによってコントロール。ディフューザーに内蔵された多孔性の素材とトランクルーム内の2基のファンによって、エアフローをアンダーボディからテールライトの間に設けられた横に連なるペアのグリルへと導くことで実現します。ウィングはリアエンドに追加されてダウンフォースを増加させ、リアエンドのシンセティック・ジェットを用いて乱れたエアフローをコントロール、空気抵抗の低減を図ります。また、F1からフィードバックされた「ドーナツ」を用いて、ブレーキディスクとホイールの一部をカバーしています。この「ドーナツ」はエアロダイナミクス性能と冷却力向上を両立させています。
ボディワークでは、エンジニアが長年扱ってきたアルミニウムをベースに、カーボンファイバーやコンポジット素材を多用することで目標の車重をクリアしました。また、高性能素材の進化によって、カーボンセラミックブレーキシステムが実現しました。今やブレーキパッドはカーボンファイバー製で、従来と同じ性能をより小さいキャリパーで実現します。レース用のカーボンセラミックブレーキはより強力なストッピングパワーと軽量化によって耐久性が向上しました。
599XXはスリックタイア(フロント29/67R19、リア31/71R19)を装備、コーナリング時のスタビリティ向上と加速力に耐えられるよう開発された専用品です。フロント19×11J、リア19×12Jのホイールと組み合わされます。
Ferrari 599をベースに、同じトランスアクスル・レイアウトやエンジン・タイプを採用していますが、このプロトタイプは究極のレーシングマシンに仕上がりました。フェラーリのエンジニアは、エンジンの燃焼室と吸排気系において広範にわたる改良に取り組み、エンジン内部の摩擦係数の低減、最高回転数 9000rpm の実現、目標最高出力 700ps/9000rpm を達成しました。特に、エンジンユニット・コンポーネントの軽量化は注目に値するものです。