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レース

新たな時代

新しいシーズン、新しいルール、新しい車。F1-75は、決意に満ちたスクーデリア・フェラーリの期待を一身に背負っています
文:ダヴィデ・マルキ
写真:キャロ・アルバネーゼ

2022年シーズンは、未知の世界への飛躍を常に予感させていました。新しいレギュレーションを導入したことで過去の実績が帳消しになり、昨シーズンの最強チームもその技術的優位性を保ち続けられなくなったのです。とにかく、そうした見方を正当化させるものでした。


事実、新型マシンFerrari F1-75がレースでその実力を発揮したことにより、2022年シーズンの2戦を終えた時点で、スクーデリアはコンストラクターズ・ランキングで40ポイント差の首位に立ち、シャルル・ルクレールとカルロス・サインツはドライバーズ・ランキングでそれぞれ1位と2位を獲得しています。 

F1-75はスクーデリア・フェラーリの2022年シーズンで最高のスタートを切り、チームはF1で85回目のワン・ツー・フィニッシュを記録しました

F1-75というマシンの名称は、1980年代から90年代、そして勝利に沸いた2000年シーズンまでのマシンに適用されていたネーミング方法を復活させて付けられたものです。もちろん「75」という数字は、エンツォ・フェラーリの名を冠した最初のモデル「125S」が、1947年3月12日に工場のゲートを離れてから75周年を迎えたことに由来しています。


チーム代表のマッティア・ビノットは、「F1-75は、私たち一人ひとりの才能、献身的姿勢、そして情熱を表現するマシンです。チームがこれまでとは異なるスピリットとアプローチで取り組み、あらゆる部品、あらゆるディテール、あらゆるソリューションの革新性を最大限に高めようとした結果だと言えます」と話しています。

シャルル・ルクレールとカルロス・サインツは、新型 F1-75のハンドルを握る決意を具現しています

これに対し、シャシー担当の責任者、エンリコ・カルディレがいくつかの補足説明を加えています。「1980年代の前半に禁止されたグランド・エフェクト・テクノロジーが復活したため、空力関連の部分に各種の変更が加えられました。今回の新しいレギュレーションでは、マシンがこれまでとは異なる方法でダウンフォースを生み出せるようになっています。前走車の影響を受けにくくすることも狙いの一つですが、とりわけ大きな狙いは追い越しを積極的に行えるようにすることです」 

チーム代表のマッティア・ビノット:「F1-75は私たち一人一人の才能、コミットメント、情熱を表現しています」

 2022年の仕様のパワー・ユニットに関しても、それほど抜本的なものではなかったものの、大きな変更が加えられました。この点についてパワー・ユニットの責任者を務めるエンリコ・グアルティエリは、「パワー・ユニットの構成部品をすべて見直さなければなりませんでした。さらなる改良が施されたものや、完全に刷新されたものもあります」と述べたうえで、 「私たちは、一つの大きなコンセプトを掲げてスタートしました。燃料からクランクシャフトにいたるまでのあらゆる部分に注意を払い、エネルギー変換プロセスで最高の効率を実現させるというものです。さらに今シーズンからは、E10という新しい燃料を使用することが義務付けられています。E10の「10」は、燃料の90パーセントが従来の物質、10パーセントが第2世代のエタノールで構成されているという意味です」と話しています。

2レース後、シャルル・ルクレールとカルロス・サインツはそれぞれドライバーの順位で1位と2位になりました

マシンの総重量は昨シーズンが752 kgであったのに対し、今シーズンは795 kgと、ほぼ800 kgになりました。その理由の一つには、重量が20 kg近くも増えている、かなり大きな新型18インチ・タイヤを装着していることが挙げられます。ピレリが開発したこの新世代タイヤは、劣化や摩耗に強いだけでなく、オーバーヒートを抑えたり接近戦でのバトルを有利にしたりすることも可能にします。


レース・ディレクターのローラン・メキースは、ほかにも今シーズンの新機軸を打ち出しています。「まずは、過去最高の23レースに出場します。ですから、今回はとても忙しいシーズンになるでしょう。マシンの準備に掛けられる時間がいちだんと少なくなっている中で、2022年は1分1秒の重要性がかつてないほど高まるでしょうから、私たちはF1-75をできるだけロジカルに設計しなければなりませんでした。今シーズンは、パワー・バランスに大きく変化が見られるかもしれません。また、各チームがマシンの性能を最大限に引きだせるようになってきていますし、開発の方向性をシーズン中に特定することになるでしょうから、急激な進歩が見られることも期待しています」 


チーム代表のビノットは、締めくくりとして次のように話しています。「期待が大きいことは承知しています。この先21レースが控えていますが、言い訳するようなことは一切ないでしょう。自分たちの実力を示せるでしょうから。私たちは一糸乱れないチーム力を誇っているだけでなく、シャルルとカルロスという最高のF1ドライバーを擁しているのです」 

05 aprile, 2022