世界に1台の365 GTB/4 Daytonaが記録的な価格で販売
文:マシュー・バーカー
40年間人目に触れることのなかった世界で唯一のフェラーリが、マラネッロでオークションにかけられる
納屋やガレージの隅で靴や本がほこりをかぶった状態のまま完全に忘れ去られてしまっているというのはよくあることです。しかし、車となるとどうでしょう?しかも、単に古いだけの車ではなく、非常にレアな、世界に1台しかないフェラーリです。なかなか大変なことになります。
先週末、Daytonaの名で世界に知られている伝説の365 GTB/4のうち、アルミニウム製のボディを持つ唯一の公道仕様車が、オークションハウスRMサザビーズの主催する「Leggenda e Passione」に登場しました。マラネッロで行なわれたこのオークションは、フェラーリ70周年記念イベントの一部として特別に開催されたもので、過去から現在までのフェラーリ・モデルが姿を見せました。
このDaytonaはシャシー番号が12653で、1969年に完成した車両です。ロッソ・キアロのボディ・カラーで、インテリアにはブラックのレザーが用いられています。1970年代の初めに複数のイタリア人オーナーの手に渡ると、その後日本に輸入され、再び何人かのオーナーに所有されたのち、高井真琴氏によって購入されました。彼がこの車を納屋にしまいこんでしまったことで、40年間ほとんど手つかずのままそこに眠ることとなったのです。
その後数十年間、そうした車は実在しなかったとか、この世にもはや存在していないといった噂が広く聞かれるようになります。そして今年の6月、マラネッロのチームが納屋で眠っていた車両を検査し、それが本物のDaytonaであることを確かめたというニュースが入ってきました。車両にはスカリエッティのボディ番号が刻まれていたうえに、未使用のスペアタイヤが備わっていました。
Ferrari 365 GTB/4 Daytona Berlinetta Alloyといったフルネームの1台は、フロントウインドウもほとんど拭かれていないありのままの状態で、レストアされることなくオークションにかけられました。
しかしながら、車両の完璧な歴史的価値とワンオフ・モデルとしての高い評価は言うまでもなく、きわめて美しい各部のライン、およびインテリアとエクステリアの複雑なディテールは、イベント会場で見ても、また、あとからオンライン上で見ても、多くの入札者を魅了するものであったことは明らかです。
この車は、最終的に1,807,000ユーロという、一般のオークションで落札されたDaytonaクーペとしては最高額を記録し、幸運なコレクターの手に渡りました。なお、この価格には整備費用が含まれていません。