フェラーリ・ディーラー・オブ・ザ・イヤーの内幕
Richard Aucock
フェラーリの「トップ・ディーラー・オブ・ザ・イヤー2018」を受賞して間もないMeridien Modena社を 訪問
Meridien Modena社は、2018年に創業30年を迎えました。イギリスの南海岸付近に位置するリンドハーストで事業を営むこのディーラーは、創業当時から友人や顧客から成る誠実なファンを増やすとともに、フェラーリ・ブランドの大使を立派に務めてきました。
「当社は単に車両を販売しているだけではなく、夢もお届けしているのです」と話すのは、マネージング・ディレクターのグレン・バットです。「私たちはお客様に夢をお届けし、記憶に残るエクスペリエンスを提供しなければなりません。フェラーリは非常に素晴らしいクルマなので、当社もそれに見合うパフォーマンスを発揮する必要があるのです」
そして現在はと言うと - つい最近開催されたフェラーリ・ディーラー・アニュアル・ミーティングにて、Meridien Modena社が最高峰となる賞、 フェラーリ「トップ・ディーラー・オブ・ザ・イヤー2018」を受賞したのです。
建物内を案内しながらグレンは、「当社はリンドハーストにあるちょっとした小イタリアです」と誇らしげに話します。「毎日フェラーリと話しをしている私たちは、一貫したクライアント・エクスペリエンスを提供していると自負しています。そのエクスペリエンスは、アトリエで始まります。そしてデモ車両をドライブし、時にはお客様と一緒に工場を訪れることもあります。どのステップも、フェラーリのバックアップを受けています」
成功の秘訣は、チームの真の努力にあります。「私はただ自分のやるべき仕事を行ってきただけで、本当にチームのおかげなんです。私は常々、ここで一番重要な人物は、車両のクリーニングやショールームの準備を担っている男性のスタッフだと言っています。彼の、『あの部分は見直した方がいい』や、『あれは変えないといけない』といったボトムからの意見に対し、私たちは耳を傾けています」
業務上のもう一人の重要な人物は、グレンの父、ジョンです。Meridien Modena社を日々経営しているのはグレンと彼の兄弟のウォーレンであり、グレンによると、「社内には父のデスクすらありません。父はしょっちゅう顔を出しに来ますが、いつも顧客の視点に立っています。『ここがあまり良くないと思う』と彼が言えば、 私たちはそこを直して、父が次に訪ねてくるのを待つのです」 このことは、現状に対する不満の声を原動力とし、素晴らしい成果を追求し続けるフェラーリの姿勢にきっちりと即しているといえます。
グレン曰く、会社は正真正銘の家族経営だそうで、ディーラー・プリンシパルを務めるニゲルでさえも実質的には家族同然だそうです。
「彼は大学生の頃から当社で働き、車両のクリーニングからスタートして徐々に出世してきたのですから。今や私の上司ですよ。大切なのは、私たちが共に働き、互いを尊重し、いかに顧客を最優先とするかを常に考えることです」
グレンにとって最も誇りに思える瞬間がやってきたのは数年前、若き愛好家が新車を買った時のことでした。「契約を完了したあとで彼が『私のことを覚えていませんよね?』と聞いてきたのです。私が素直に覚えていないと伝えると、彼は、彼がまだ11歳か12歳の頃の昔の写真を見せてくれました」
「私は当時を鮮明に思い出しました。彼と彼の父が当社にいらした時、少年だった彼は間近で見るフェラーリに興奮していました。私はその日多忙でしたが、当社の理念はいつもお客様に特別な気分を味わって頂くことなので、 車両の周りをお見せし、二人の写真を撮りました。彼が見せてくれた写真がまさにその時のものだったのです。私はグッときて感動してしまいましたが、そういうものなのでしょうね」
Meriden社は週7日営業で、「顧客とは特別な関係を築いています」とグレンは言います。「2003年に新車を買われたあるお客様は、今も3ヶ月おきにいらっしゃいます。『いつかもう1台買いますよ』と、毎回のように話されていましたが、 最近それを有言実行されましたよ。実は彼のもとに新しいPortofinoが納車されたばかりなのです」
「ここでパーティーを楽しむこともありますよ」とグレンは付け足します。「これまで特別なシェフやDJを呼んだり、ショーを開催したりしてきました。私たちは、お客様同士が交流し続けられるようにしたいのです。そして、情熱を分かち合ってもらいたいのです。それが、こういったビジネスで成功する唯一の方法だと心から思っています」。Meridien Modena社は、お客様を大切にしてきたことで成功を収めています。私たちがその場を去る時、グレンは別のお客様に心のこもった挨拶をし、コーヒーを飲みながら近況報告をするところでした。次のメンバーが、Meridien Modenaのファミリーに温かく迎え入れられたのです。