フェラーリとレッド・ドット・デザイン賞

10 10月 2018

Richard Aucock

フェラーリの車両デザインは、なぜレッド・ドット賞を獲得し続けるのか?


近年、フェラーリはそのデザインが評価され、レッド・ドット・デザイン賞を受賞し続けています。このコンペティションはプロのデザイナーが高く評価しているもので、毎年、世界各国から数千のエントリーがあります。エントリーした製品のうち審査員によって賞賛されるものはわずか1%に過ぎないものの、フェラーリはそれが習慣でもあるかのようにこの賞を受賞し続けているのです。レッド・ドット賞の歴史は1955年に遡ります。

発端となったのは、ドイツ(エッセン)のヴィラ・ヒューゲルで開催された「エレガントな工業製品の恒久的なショー(Permanent Show of Elegant Industrial Products)」です。年月を重ねる中で、現代のデザインに焦点を合わせた世界最大の展示会へと発展し、展示物の数が約2,000点を誇るまでになったこのショーでは、年間の「デザイン・イノベーション賞」も設けられました。これが現在の「レッド・ドット・デザイン賞」です。賞を主催しているのは、エッセンを拠点とする「ノルトライン・ヴェストファーレン・デザインセンター(Design Zentrum Nordrhein Westfalen)」です。

毎年、この賞の授賞式は、歴史的な場所であるツォルフェアアイン炭鉱業遺産群で行われます。それぞれのカテゴリーにおいては、「オーナラブル・メンション」、「レッド・ドット」、「レッド・ドット・ベスト・オブ・ザ・ベスト」といった3つの賞が授与されます。中でも「レッド・ドット・ベスト・オブ・ザ・ベスト」は最も権威のある賞であり、デザインの革新性という点で他を圧倒している製品に対して与えられるものです。審査基準には、革新性、フォルムと機能、エルゴノミクス、さらには耐久性が含まれます。また、エントリーした製品は、シンボリックな要素やエモーショナルな要素のほか、それぞれのデザインがいかに親しみやすく明快であるかという点や、どれほど環境に対する配慮がなされているかについても評価されます。


こうした点について、各審査員がそれぞれの専門知識や見解を基に評価を行うのです。長年の間、レッド・ドット賞は、家具や家庭電化製品といった分野にフォーカスしていました。自動車が対象に含まれるようになったのは最近になってからのことで、2015年以降はそのカテゴリーをフェラーリが支配しています。

 

初めてレッド・ドット賞を受賞したのは、このデザイン・コンペティションが創設60周年を迎えた年であり、California TとLaFerrariがともにレッド・ドット・デザイン賞を獲得しました。また、Ferrari FXX-Kも受賞車両のひとつです。このFXX-Kは、レッド・デザイン最高の栄誉となる「レッド・ドット・ベスト・オブ・ザ・ベスト賞」をスポーツカーのカテゴリーにおいて受賞しました。このコンペティションにおけるフェラーリの成功は、ここから始まったのです。


約5,200点のエントリーがあった2016年、受賞した79点の中からFerrari 488 GTBが再び「レッド・ドット・ベスト・オブ・ザ・ベスト賞」を獲得すると、その翌年には、Ferrari GTC4Lusso、LaFerrari Aperta、Ferrari 458 MM Specialeがレッド・ドット賞に輝いたのに加え、Ferrari J50が「スポーツカー・ベスト・オブ・ザ・ベスト賞」を手にしました。

では、2018年度はどのような結果になったでしょうか?今年のコンペティションで、フェラーリは4連覇を果たしています。Ferrari 812 SuperfastとFXX-K Evoがともに「レッド・ドット・デザイン賞」を受賞したほか、Portofinoが今年の「ベスト・オブ・ザ・ベスト」に輝いています。6,300点のエントリーがあったことから、今年の受賞争いはかつてないほどの激戦でした。フェラーリの連覇はこうした激戦を制した結果であるだけに、これまで以上に素晴らしいものであると言えます。