Ferrari F8 Tributo、ドバイで雄叫びをあげる

20 8月 2019

Gianemilio Mazzoleni

Ferrari F8 Tributoのキャンペーンに向けた撮影をドバイで行った際、私たちは、サーキットおよび急なカーブが連続する公道でマラネッロの最新型GTをテストする機会に恵まれました。


ドバイ・オートドロームの向こうに太陽が沈みつつありますが、一日はまだ終わっていません。タイヤが煙をあげ、素早いシフト・チェンジが行われ、エンジンが咆哮する。そうした中、新型Ferrari F8 Tributoはコーナーでドリフトをすると、プラットフォームとTVカメラを搭載したピックアップ・トラックに接近します。これは、フォトグラファー、ビデオグラファー、そしてフェラーリのドライバーで構成される15名の強力なチームが、アドレナリンを放出させつつ、多忙な一日の最終作業を行っているときの様子です。撮影スタッフは、跳ね馬の革新的なベルリネッタに潜むスピリットをカメラに収めようとしているのです。このベルリネッタは、マラネッロをまったく新しい方向に誘いつつあります。

3日間にわたる撮影において、Tributoは異なる素顔を披露しました。どれもこの車両が複雑な性格の持ち主であることを示すものです。「F8 Tributoは、複数の異なる個性を完璧に融合させている点が特徴です」と話すのは、長期にわたってマラネッロのテスト・ドライバーを努めてきたロベルト・リッキです。彼はこれに続けて、「私たちは、車重を削ることと車両のエアロダイナミクス性能を最適化することによって、F8 Tributoのパフォーマンスを488 Pistaのレベルに近づけました。488 Pistaは、Tributoに搭載されたV8エンジンの継承元でもあります。

また、F8 Tributoは、ツーシーターベルリネッタの伝統的な多用途性をすべて保持しているだけでなく、究極性がいちだんと高いPistaよりもサスペンションは従順で、コックピットは静かです」と述べています。フェラーリは、ビークル・ダイナッミクスのロジックを用いたシステムにも多くの時間を費やしました。ドライバーが車両のパワーを比較的容易に引き出せるようにすること、および限界付近で車両を安心して運転できるようにすることが狙いです。「この結果には本当に驚いています」と、リッキは自身の思いを述べています。

私たちは、今回のテスト走行でジェベル・ハフィートのマウンテン・ロードへ向かいました。この道は通行止めとなっているため、私たちはここぞとばかりにマネッティーノを「Race(レース)」にセットしました。Tributoの場合、この設定においてフェラーリ・ダイナミック・エンハンサーが同時に作動します。電子制御システムであるフェラーリ・ダイナミック・エンハンサーは、コーナリングの際、他の車両ダイナミクス・システム(F1-Trac、E-Diff、SCM)と一緒に各ブレーキ・キャリパーの動作に介入します。このため、経験の浅いドライバーであっても、車両をコントロールできているという感覚が味わえるのです。

パフォーマンスの向上に寄与している特徴はこれだけにとどまりません。488 GTBに比べて車重が40 kg軽いうえに、車両のバランスが入念に磨き抜かれているのです。すべての重量物は前後のアクスル間にレイアウトされ、アクスルもできるだけ路面に近い位置を保っています。ボルテックス・ジェネレーター、エア・インテーク、そしてフロントのS-Ductを新たにデザインしたことで、ダウンフォースも10%増大しました。ドバイ・オートドロームでは、こうした点がすべてその効果を明らかにしています。私たちがストレートでTributoのアクセルを踏み込んだ場合、同車が示す加速性能(0-100 km/h加速:2.9秒)と最高速度(340 km/h)は、Pistaのそれらと同じです。

しかし、コーナーに入ると、あなたは自分の走行ラインがコンパスによって計算されたものであるかのような感覚に見舞われることでしょう。一つのラビング・ストリップから他のラビング・ストリップまでのことを意識しなくても、その間をパワフルに走ることができるからです。実際、その走りは、Tributoがドライバーのことを考えているのではないかという印象を抱かせます。「私たちは、フェラーリのフィロソフィーを強調しようと努力しました。そのフィロソフィーとは、ドライバーが車両を自分の身体の延長であると感じられるようにするといったものです。つまり、ドライバーの考えていることをすべて理解し、それに従っているかのような振る舞いを車両にさせるのです。大きな課題は、お客様にPistaの体験を提供することでした。一部のリアクションが遅い中で、車両がもたらす感動に影響をおよぼさないようにしなくてはならなかったのです」と、リッキは説明します。

新たにデザインされたインテリアも嬉しい驚きに満ちあふれていて、繭を連想させるラグジュアリー感とエッジの効いたスポーツ性とが自然なかたちで融合しています。すべての操作系はドライバーの手元付近にレイアウトされ、新しいステアリング・ホイールは、ソリッド感が増すとともに、グリップの仕上がりがエルゴノミクス性に優れたものとなっています。こうした工夫を重ねる中、フェラーリは、ドライバーの視線が路面から絶対に離れないようにすると決心するにいたりました。先進運転支援システム(ADAS)は、あまり極端な状況でない限り、ドライバーの安全運転をアシストします。

Tributoが日常的に経験すると思われる現実生の高いトリップの場合、この車はいちだんと快適な体験をもたらしてくれます。実際、運転は非常に容易であって、最高出力700 cvのフェラーリ・モデルを運転しているということなど忘れてしまうでしょう。ただし、そのエンジンが咆哮した場合、話は別です。