バクーの未来
27 5月 2016
文:アビー・ヴォーラ
アゼルバイジャン首都、F1ヨーロッパGP開催に向けて準備万全
アゼルバイジャンは首都の旧市街を走り抜けるスーパーカーの轟音が響く街、また最近ではバグー2015年ヨーロッパ競技大会など、主要なスポーツイベントでも知られています。
よって今回この都市が再び注目の的となり、2016年ヨーロッパGP(6月17日〜19日)がF1カレンダーに最終追加されたのは全く自然なことなのです。
6㎞のコース(スパ-フランコルシャンに次ぐ長さ)、そして20か所のカーブを要する(コーナー1.2.3は90度の左カーブ)305㎞のレース距離。バクーのレースで圧倒されることを約束します。
「この夏のF1開会式に先立ち、バクー周辺ではたくさんの刺激が待っています。」と話すのは、現地のF1プロモーターでありバクーのレース主催者であるアリフ・ラヒモフ氏です。
「準備はレースが発表された瞬間から始まり、スケジュール通りに進んでいます。私たちは可能な限りの最高のレース・ウィークエンドにできるように努力しています。有名人によるコンサートなど、素晴らしいエンターテーメントを計画しています。私たちは皆さんにバクーでレースだけでなく、文化や刺激、娯楽、そして街の美しさも楽しんでもらいたいと思っています。」
サーキットは建築家ヘルマン・ティルケ氏によって設計されました。「バクーの挑戦的で魅力的な雰囲気を出している」と彼は表現しています。
コースはJWマリオットホテルに進み、西に向かう前に総督官邸を周り、歴史博物館を通り、バクー最古の建物となるマイデンタワー方面へと続きます。
12世紀に海が打ち上げられた旧市街の壁の一部として建てられた塔から、狭い上り坂に回ります。「ピンポイントの正確さと勇気が必要になるでしょう」とティルケ氏は話します。
彼は冗談で言っているのではなく、本当にコーナーが狭いのです。しかしながらそこには追いつけるチャンスも潜んでいます。ユネスコ世界遺産に登録された旧市街の壁を周る直前、標高の変化もまた一つの楽しみとして捉えられるでしょう。
フォーシーズンズホテルは最終コーナーから他を引き離すためのコース上で重要な場所となります。Neftchilar通り沿いの2.2㎞の直線コースです。それはドライバーにとってDRSを作動させ、トップスピードでゴールするチャンスとなります。
レースコースが反時計回りだということはお伝えしましたでしょうか。現在のGPカレンダー(有名なインテルラゴスを含む)でも困難なコースの一つとなるバクーはドライバーにとって車の操作だけでなく、精神的にも肉体的にもかなりの負担を残すでしょう。
バクーのコースは新旧の完全なバランスで成り立っています。首都の卓抜した現代的な建築、旧世紀からの建物とその影、旧市街の情緒的な雰囲気が漂う街路。バクーはヨーロッパがアジアと出会った場所、壮麗なる坩堝(るつぼ)であり、そしてF1 世界GPツアーに加わったという素晴らしい背景をもつ街なのです。