チーム全体の経験を活用し、障害の打破と互いの成長のために、大きな多様性を利点とすること。これこそ、10年前にフェラーリがFEAハブを設立したときに開始した「小さな大革命」の基礎となりました。FEAは、現在ではヨーロッパとアフリカの5つの地域で24のマーケットを網羅するに至っています。まず、フェラーリ ノース ヨーロッパは、イギリスのスラウに本拠を置いています。 フェラーリ ウエスト ヨーロッパは、パリに拠点を置き、フランス、スペイン、ポルトガル、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、モナコを管轄します。 フェラーリ セントラル ヨーロッパは、ドイツのヴィースバーデンに拠点を置き、オーストリアもカバーします。 最後にマラネッロには、フェラーリ サウス ヨーロッパ(イタリア、南アフリカ、ルーマニア、トルコ、イスラエルを担当)とフェラーリ イースト ヨーロッパ(スイス、チェコ、ポーランド、ハンガリー、ロシア、アゼルバイジャンを担当)の2つが拠点を置いています。
この統合戦略を実現するために、2013年からFEAハブのトップを務めているフランチェスコ・ビアンキがマラネッロにやって来ました。ビアンキは説明します。「対象となる国やマーケットは、地理的には近くても、互いに非常に異なっています。目標となったのは、一貫した、ひとつだけのフェラーリを確保するために、統一的なプロセスや戦略を模索することでした。従来は、現地で支配的な論理に基づいて、地元の組織がマーケットに対応していました。そこで、こうした選択を大陸レベルで共有し、プロセスを標準化することで、柔軟性と効率を高めることが決定されたのです。」
しかし、数が多いだけに、これは簡単なことではありませんでした。ディーラーは74社、ショールームは約80箇所、認定サービスセンターは120箇所を越え、すべてが戦略とソリューションを求めてマラネッロに問い合わせてきます。しかし、これは華々しい成果を生むことになりました。さまざまな人の多様な能力を活用することで、新しいアイデアやベストプラクティスがもっとスピーディーに広まることになったからです。たとえば、ベルギーで生まれたことにトルコが関心を寄せる可能性もあり、スカンジナビアの問題が南アフリカでの経験によって解決されることもあるかもしれません。つまり、FEAハブに相談するということは、実際にはヨーロッパ全体に相談することを意味し、計画を実践に移す方法が見つかったら、それがマラネッロで共有されるわけです。
各自の努力を持ち寄ることは、ヨーロッパ全体で前進するための最良の方法を見つけるのに役立ちます。ヨーロッパといっても多種多様で、イタリア、ドイツ、イギリス、フランス、スイスなどの歴史ある国から、ポーランドやチェコのような、年数の点でもマーケットの点でも比較的歴史の浅い国もあります。
ビアンキは言います。「当社の者の個人的な知り合いである顧客もいますので、これは大きな利点となります。個人的に関係を築き、直接つながりを持つことで、ニーズを理解し、希望を叶えることができ、たとえばフェラーリ ハイパークラブのように、提供するエクスペリエンスやサービスをたえず刷新できるようになります。」 今年のこのプログラムでは、フェラーリスティの選ばれたグループがル・マン24時間レースをサーキットの核心部分で体験し、この世界屈指の伝説的な競技においてフェラーリのハイパーカーがデビューして歴史的な勝利を飾るのを目撃しました。ビアンキは言います。「これは、顧客との関係と顧客エクスペリエンスが重要な要素となる一例にすぎません。こうしたことを核とする戦略は、5つの主要なポイントに要約されます。
「1つめは、ブランドバリューの認識を高いレベルに維持することです。 2つめは、フェラーリのイベントや、ディーラーとの関係、あるいはディーラーの現地での取り組みを通じて、ロイヤルティ、信頼、コミュニティ感覚を強化することです。 3つめは、ブランドを知ることから、製品の体験、購入、アフターセールスサポート、コミュニティへの積極的な関与まで、顧客のフェラーリでの「旅」全体を通じて、つねに最高品質のサービスを確保することです。 4つめは、あらゆるレベルで持続可能性に最大限の注意を払うことです。 5つめは、デジタルのコミュニケーションチャンネルを重視しながら、マラネッロと各マーケットとの間で整合性のある活動、マーケティング、およびコミュニケーションプランを策定し、推進することです。」