時代に左右されないドロップトップ・モデル:新型Ferrari 488 Pista Spider
Words: Chris Rees
ドロップトップ、十分なボリューム感、妥協の撤廃:最新モデルの488 Pista Spiderがレーシング・マシンのダイナミクスをオープントップ走行で披露
この車の誕生ストーリーについて、その一部をここで紹介します。新型Ferrari 488 Pista Spiderは、跳ね馬が手掛けた50代目のドロップトップ・モデルです。米国のぺブルビーチで開催されたコンクール・デレガンスでベールを脱いだのち、パリモーターショー(the Mondial de l’Auto in Paris)においてヨーロッパでのデビューを飾りました。
公道走行が可能なドロップトップ・モデルのFerrari 488 Pistaには、その風貌にふさわしく、モータースポーツ由来のきわめて高度なテクノロジーが採用されています。
つまり、488 Pistaの派生モデルとして登場したこの新型Spiderは、488 Challengeや488 GTEといったレーシングカーを世界中のサーキットで走らせてきた経験を基に完成させた1台なのです。ルーフを開けてオープンエアの状態にすれば、レーシングスピリットが駆り立てられるとともに、488 Pista Spiderならではの、サーキットを起源とするピュアなサウンドが聴覚を刺激します。
フェラーリのデザイナーは、エアロダイナミクス効率、フォルムの純粋さ、そしてレーシングスピリットを究極のレベルでバランスさせることに成功しました。488 Pista Spiderは固定ルーフタイプのPistaと同様にきわめて軽量なモデルであり、1.92 kg/cvのパワーウエイト・レシオは変わっていません。搭載するエンジンは歴代最高の力強さを誇る、排気量3,902 ccのV8ツインターボエンジンです。インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーに3年連続で輝いたこのパワー・ユニットは、720 cvの最高出力を発生。リニアなトルクカーブを描くことから、レッドゾーンに入るまで安定した加速を実現させます。この結果、0-100 km/h加速のタイムは2.85秒、最高速度は340 km/hをマークしています。いずれも世界最速級のドロップトップ・モデルであることを証明するパフォーマンスです。
スペシャル・シリーズに属するこの最新のSpiderは、きわめて鋭いブレーキング、電光石火のギアシフト、精緻なステアリング、そしてシャープなハンドリングも持ち味です。これらすべてに対しては、横方向のダイナミクスを制御するフェラーリ・ダイナミック・エンハンサー(FDE)が少なからず貢献しています。FDEはドライビングの限界付近において、より直感的で制御しやすく予測可能な運転操作を可能にします。
488 Pista Spiderには、ダイヤモンド仕上げを施した、20インチの合金製ホイールが備わっています。専用開発されたこのホイールは、伝統的なベルリネッタ・スタイルのリムを進化させたもので、星型を生み出している10本のスポークが斬新です。このほか、車重をできるだけ軽くし、ドライビング・ダイナミクスにさらなる磨きを掛けられるよう、ワンピース構造のカーボン・ファイバー製ホイールも用意されています。鍛造ホイールよりも20%多く軽量化を図ることができるホイールです。また、488 Pista Spiderのボディには、非常に個性的なセンター・ストライプが前方から後方にかけてあしらわれています。後方に向かって幅が広くなるこのストライプは、スポイラーの直前まで伸びていて、
Pistaの大きな特徴でもある洗練されたエアフローを強くアピールするだけでなく、他に類を見ないエレガントなボディ・ラインを際立たせる役割も果たします。コックピットにはカーボン・ファイバーとアルカンターラが随所に使用されています。さらに、サーキット由来のモデルであることを示すように、模様の入ったアルミニウム製のフットプレートがカーペットの代わりに用いられているほか、運転席側のドアハンドルはシンプルなストラップとなっています。
488 Pista Spiderの軽量なリトラクタブル・ハードトップ(RHT)は走行中でも開閉が可能で、開く場合も閉じる場合も所要時間はわずか14秒です。ルーフを開いているとき、乗員は調節可能なウインドストップによって風による振動から保護されます。